それって作り手の問題じゃないの?

Twitterを眺めていたらこちらの「続) ガラケーからスマホの怒濤の流れで割を食い始めたサービス」という記事が流れてきたのでちょっと読んでみました。要約すると「色が違うというクレームが増えていて、原因を探ってみるとスマートフォンユーザーではないか。スマートフォンの色再現性に問題があるのでは?」みたいな話。

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えっと、結論から書くと、それたぶん作り手側の問題が大きいかも。

#こういうの書くとディスってるとか言われちゃうんですけど、そうではなくて問題の所在の切り分けをしやすくするためにできることを書いてるだけですので誤解なきよう。

とりあえず、自分の環境を見直しましょう

最初にお断りしておきますが、手元にすべてのスマートフォンやタブレットがあるわけではないので、いちいち検証したわけではありません。が、まぁこれまでいろいろやってきた経験から問題は作り手側にもあるだろうね、と思うのです。

デジタルで写真を扱う時に忘れてはいけないのは、制作環境・閲覧環境それぞれの機器・デバイスの色空間というものがあるということ。すべての機器が同じ色空間で同じ発色性能などを持っていれば、こういうことを気にする必要はない。でも、残念ながら全部が同じであるなんてことはありえない。

もう少しわかりやすく説明すると、「パソコンで開いた写真をそのままプリンタで印刷してみたら色が違う」って経験があるひとも多いんじゃないかと。なぜそういうことが起きるかっていうと、パソコンで表示している色の範囲とプリンタが扱える色の範囲が違うから。同じ色がそのまま出せれば問題は起こらないんだけど、残念ながらプリンタはインクや紙の関係もあって色の再現性は異なる。

パソコンとプリンタそれぞれでの色の扱う範囲(色の取り扱い方っていった方が適当かな)が異なれば、それをどうにかして同じになるように変換してあげないといけない。そこで登場するのが「CMS(Color Management System)」になる。間にたって、パソコンでの色表示をプリンタでも同じようになるよう変換するって考えればいいかな。ま、そういう作業をしてあげないといつまでたっても色は合わないわけですよ。

OS Xであればシステムレベルのカラーマネジメントが古くから動いていてあんまりその辺は気にしなくてもいいんだけど、残念なことにWindowsではVistaの頃からボチボチとその仕組みが導入され始めた次第。基本的にWindowsというのは「sRGB」という色空間をベースにしていて、何でもsRGBに置き換えちゃうみたいなスタンス。俺にみんな合わせてよ的な、ね(謎)。幸いインターネットの標準的な色空間も「sRGB」ってことになってるのがまだ救い。

それより問題なのは、作り手側が自分のモニタに表示されている色が正しいと思いこんでること。モニタってのは定期的に調整をしてあげないと色を正しく表示することができない。たとえば、黒に近い95%ぐらいのグレーとか白に近い5%のグレーとか微妙な階調が再現できなかったりする。モニタに映し出されてる絵ってのは、RGBそれぞれのグレーの階調が重なってるわけで、それがバラバラだったら最終的にモニタに出てる色が正しいなんて保証はどこにもない(そういう意味ではスマートフォンも怪しいといえば怪しいんだけど 笑)。

色が合ってるか合ってないかもわからないモニタにくわえて、色空間(カラープロファイル)が存在しているってことも知ってか知らずか無視したりする。最悪なのは正しく色表示ができてないモニタで「こんな感じかな?」みたいな修正をして保存する。幸い、最近のPhotoshopは初期設定の作業色空間がsRGBに設定されていたりするからまだ救いなのだけど(※これは環境による)。

こういったモニタのキャリブレーションとかの話は何度も何度も出してますが、miyahan.comさんのこちらの記事「液晶ディスプレイとカラーマネージメント」が大変参考になるでしょう。

とりあえずsRGBでも埋め込んでおきましょう

で、話を本題に戻すと、スマートフォンとかタブレットは個々の端末は、もちろんデバイス固有の再現性の差があるでしょう。ただ、インターネットの基準色空間はsRGBであって、多くの端末はそれに準じた色空間か変換テーブルを持ってるはず。内蔵のカメラで撮った写真には、大概sRGBのプロファイルとか付いてるだろうし。でなきゃ、いわゆるガラケー時代から問題が起こっててもおかしくない(壁紙の色がおかしいとか、友達からもらった写真の顔が青白いとかさw)。

そういうわけで、発色性能とか再現性は個体ごとに微妙な違いがあるだろうけど、ありえないほど大きく色が変わってしまうってのは、「作り手側のモニタの色があってないとか、色空間の存在を無視してたりするからじゃないかな?」と思うわけです。どの端末で見ても完璧に同じ色にってことは不可能に近いけど、ある程度同じようにすることはできるわけで。それでもズレてるならそれは端末側の問題じゃないか、みたいな切り分けはできる

こういった色のトラブルを極力避けるには、モニタのキャリブレーションをちゃんとやって環境と作業工程をきちんと見直す。ファイルを保存する時は、念には念を入れて「sRGB」のプロファイルを埋め込んでおく。そういったことを徹底しておけば、おおかた大丈夫だと思うんですけどねぇ…(もちろんいくつかのデバイスでちゃんと確認した方がいいですよ)。

ネタは去年だがここのブログを見ると、 相当に異なっているのがわかる。想像でしかないが、CPUの性能がPCに比べてずっと低いスマホでは、擬似的に綺麗に見せてるというのも説得力がある。しかしちょこっとみたら、iida INFOBARは26万色、BlackBerryBold 9780やHTC EVOなんて65000色・・・。パソコンは普通数百万色以上に対応しているからそもそものモニタの精度が比較にならないのである。

HTC Evoが65,000色だからとか書いてあるので試してみましたよ、手元にあるから(笑)。この引用部分で参考リンク的に貼ってあるページのグラデーションをちょっと拝借して、こちらで一旦ちょいちょいっと保存しなおしてから、iPhoneのSafariとAndroidのHTC Evoで表示したものがこれ。

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なんか違いますかね? ホントは並べて写真でも撮った方がいいんでしょうけど変わらないすよ、実際の見た目も。

256色とフルカラーの比較ならともかく、もう65,000色ぐらいまでいったら普通の人の目じゃあんまりわかんないんじゃないすかね。もちろん擬似的に出してる色が多少あるかもしれないけど、ちゃんとやっとけば大きく色が変わるなんて事はないんじゃないかな。

そもそも元記事のグラデーションのファイルにはプロファイルないんですよね…。それがないうえで各端末での表示結果が載せられてるので、ひょっとしたら端末ごとの色空間とか変換テーブルに左右されて表示された結果じゃないか、と思ったり思わなかったり。もちろん個体差はあるとしても。

まぁ、そんなわけでちょっと流れてきて目に止まった記事を読んでる方も多そうなので、スマートフォンそのものの問題なのか、制作環境とか作り方が問題なのか、ちゃんと皆さんで判断していただきたくこの記事を書いた次第です。

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